アメリカのリーディング・メソッド

音楽ライター山本美芽が、アメリカ在住の5年間に学んだリーディングメソッドについて綴ります。

英検準2級、2次試験で満点を得るための、しょうもないテクニック

小学3年生、アメリカから帰国後7ヶ月目のうちの娘が、英検準2級に合格しました。

ほとんどアメリカの小学校に通っていたときの貯金的な英語力で合格したようなものですが、いちおう毎日、アメリカで購入したJUNIE.B.JONESのチャプターブックを最低1章読み、週に1度カナダ人の先生とマンツーマンで英会話、テレビはなるべく1日30分以上英語で見る、という最低限な英語維持活動を続けてきました。

とはいえ私は、娘が英語をどんどん忘れているのではないかと、つねに心配していました。

実際問題として、アメリカにいた頃よりは、忘れてきてはいると思います。その分、日本語のことわざや漢字を覚えているので、まあよしとしなければ、と思っていました。

ですので、二次も合格できれば御の字、としか考えていなかったのですが、なんとスコアが満点でした。

私も夫もみんなびっくり。本人もびっくり…。満点ってほんとにあるのねえ、とまじまじと送られてきた紙を見てしまいました。

ちなみに私はこの前、準1級に受かったのですが、1次のスコアはなんと合格最低点、2次のスコアも最低点ではないですけど、ほとんどぎりぎり。この違いは…(苦笑)

もちろん娘が頑張ったのが一番ですが、私が試験前3日間、2次用の問題集を使って受験テクニックを娘に叩き込み、それがわりと効果があったようなので、参考までにまとめておきます。

1、音読 知らない単語が出てきたときは、さも知っているかのようなふりをして適当にそれらしきことをごにょっと言って、自分がその単語を知らないことを試験官に気づかれないようにする。「ハッタリをかますのよ」と私が力をこめると、娘は「ハッタリってなに?」…というので「ハッタリ」について説明しました。英検の勉強をしてたのに、なんなんだか。

2、 最初の質問、According to the passage,で始まる文は、本文が5行あるうちの4行目あたりの文章のあたりから抜き出して何か言っておく。

3、絵を見てその様子を英語で描写する問題のうち、Bは、誰かが何かをしてそれに対して他者がどうだったか、要するに、2つのことを言う。

4、最後のふたつ、YESかNOかで自分の意見をきかれる問題は、YESでもNOでもどっちでもよくて、そのあと、why? ときかれるので、 Because I think から始めて、なんでもいいからもっともらしいことを言っておく。

娘は、「未来ではコーヒーは特別な飲み物になると思いますか?」といわれたので、「People will make new juice,so it won't be special って答えた」といっていました。本当は「新しい飲み物が発明される」と言いたかったのだけれど、inventという単語を知らなかったので、makeにしちゃった、ともいっていました。

こういうような練習を直前3日間に10題やりました。
果たして、英語の専門家から見たら、このような教え方でいいのか、問題がないのか、気になるところですが…。

「なにをしょうもない小手先のテクニックを教えてるんだよ!」と夫には呆れられました。でも、娘が二月に受けた3級の2次試験では、合格はしたものの、満点には届かないスコアでした。たぶん、満点をとるには、小手先のテクニックも若干は役に立ったのではないかと思われます。

使ったテキストはこちら。10題入っていますので、けっこうな量ですし、けっこう勉強できました。

DAILY7日間英検準2級 二次試験対策予想問題 (旺文社英検書)

DAILY7日間英検準2級 二次試験対策予想問題 (旺文社英検書)

次は2級? といきたいところですが、なにぶん、今読んでいる本が、先生や親を困らせる小学1年生を主人公にしたジュニーBですので、新聞記事のボキャブラリーも要求される2級とはあまりにギャップが…。ヒアリングやボキャブラリーのやさしい問題で点数を稼ぎまくって突破している低学年の帰国子女の方々もいるようで、そういう方法もありかなとは思います。

でも、英検に合格すると、まわりの大人が「すごい」と大騒ぎするのが娘にはよい動機付けになっているようなので、そんなふうに山勘的な解き方で運を頼りに突破するのも、もったいないかなと。

問題集でボキャブラリーを蓄えるなんて芸当は、小学生のうちの娘には絶対無理。そうなると、大量に読書をしながら身につけるしかありません。

いま読んでいる途中のジュニーBの30冊セットと、ぜんぜん読んでいないマジックツリーハウス50冊を読破したら受けてもいいことにしよう、という話になっていますが、果たしてマジックツリーハウスに進める日は来るのか…。

Junie B. Jones and the Stupid Smelly Bus (Junie B. Jones #1)

Junie B. Jones and the Stupid Smelly Bus (Junie B. Jones #1)

Magic Tree House Volumes 1-4 Boxed Set

Magic Tree House Volumes 1-4 Boxed Set

The Magic Tree House Library: Books 1-28

The Magic Tree House Library: Books 1-28

私自身も1級にそのうちチャレンジしたいとは思っているのですが、1級用の問題集のボキャブラリー、見ただけで頭痛がしてきました。娘と同じように、洋書をたくさん読んで、英語のドラマとニュースを見て、英語でemailをたくさん書いて、2年後ぐらいを目標に少しずつ準備していきたいと思います。

とはいえ、もし私が1級をとっても何も役立たないんですけどね。受験料がもったいないな。たぶん、娘が1級を受けるとなったときに、威張って(というか、英語の指導にある程度の信頼性を自負しつつ)教えられるというのがメリットになるでしょう。

3歳の娘とアメリカに渡ったとき、ふたりともほとんど話せなかったのですが、クッキーでアルファベットを作り、鏡にmirrorと書いた紙を張り、日本食恋しさにも負けず5年間、頑張っていた頃が懐かしいです。地道すぎるスローな進歩に絶望しそうでしたが…、英検準2級2次満点、娘にとっても私にとってもうれしいごほうびでした。

アメリカでの英語学習の模様はこちらの本にまとめてあります。

英語できるもん―おうちで楽しくバイリンガル

英語できるもん―おうちで楽しくバイリンガル

日本の会社では以前より英語が重要に?

5年ぶりに日本に帰ってきて、いろいろな雑誌を手にとっていますが、どうも、5年前よりも明らかに、会社というかビジネスの場での英語の必然性が高まっている模様です。

日本の中だけで商売をしていたのではもう食べていけない、外国のビジネスパートナーと直接コンタクトをとってスピーディーに仕事を進めていかなくては、外国の企業との競争に負けてしまうし、国内での競争をしていくにも、外国の企業の力を使いこなすことで差が出てしまう時代になってきたんですね。

アメリカにいたときは、「ユニクロ楽天が英語を社内公用語に」と聞き、子どもたちに日本語を苦労して教えていた私には「日本語が衰退しないといいなあ」と心配しましたが、それよりなりより、縮小する国内市場と運命をともにしないために、海外市場に打って出なければならず、英語を使って生き残らなければ、ということなんですね。

たまたま夫が買ってきた雑誌、プレジデント4月18日号が「英語と就職、出世、お金」という、まあえげつないというかストレートな特集がありました。

PRESIDENT (プレジデント) 2011年 4/18号 [雑誌]

PRESIDENT (プレジデント) 2011年 4/18号 [雑誌]

●昇進・昇格について、住友商事はTOEIC730点、パナソニック550点が必要

●新卒の就職については、TOEIC730点以上を持っていると、企業の半分以上がプラス評価

●TOEICの点数に資格手当を出している企業がある。大和ハウスは900点で20万、レンゴーは730点で10万円

というような。そして、すべて能力がTOEICで測られているのですね。子どもの入試は英検、社会人になったらTOEICなのが日本の現状のようです。

帰国子女がみんなやたらといい学校に合格している理由

これも和田秀樹さんの本に書いてありました。

「早稲田や慶応の文系学部ならば、英語さえしっかりやっておけば、二番手、三番手どころか、高校と名のつくところならどんな学校からでも早慶に合格できることを断言しておく」

アメリカで知り合ったお友達で、中学・高校生のいらっしゃるお宅は、みんな帰国して日本の受験に苦労しているのですが、早稲田や慶応などに軒並み合格しているので感心します。いやあ、たいしたもんです。
それにしてもみんな揃いもそろって。帰国受験ってやっぱり有利なのかなあ。とか考えていたのですが。

実際のところは、日本の大学入試では英語がものすごく重視され、アメリカで現地校に行って半ばノイローゼになりつつも逃げ場のない状況で毎日7−8時間英語漬けの日々を数年間過ごした生徒たちの英語力が、日本にいないことで犠牲になる国語力を有り余って高く評価されている、ということのようです。

帰国してからの英語保持はとにかくお月謝がかかり、成果も目にみえづらいし、どうしようかと迷いが出るところですが、大学受験までを見渡すと、日常生活に支障をきたさない範囲で、できるだけ続けておいたほうがよさそうかなという気がしました。

日本の大学入試までに必要な英単語は5000

私が受験したころは「でる単」などを暗記して一生懸命単語を覚えたものですが、リーディングで英語の本を多読するようになると、自然と単語というのは覚えるもので、こうやって覚えちゃった単語で大学受験まで突破できれば楽だよなあ、と思います。

そこで和田秀樹さんの「公立小中高から東大に入る本」というのを読んでみました。

タイトルがストレートでちょっとビビっちゃいますが、公立小中高のカリキュラムでは大学受験に間に合わない現実があり、だいたいどのへんまでやっておけば対応できるのかという話が書いてあります。

それによると、今は、「長文化は進んでいるものの、トータルで5000語も覚えれば、どんな難関工も突破できる」。ただし和田さんが灘中に入学したころ「中学の教科書に出てくる単語が1000語、高校では5000語、単語集などを使って独自に覚えなければならない単語が4000語」。

和田さんは、中学で覚える単語が少なすぎると指摘。和田さんが行っていた頃の灘中では、中学3年間で3000語、高校2年の教科書レベルを覚えるようにいわれたとか。英単語を覚えるにあたっては高校よりも中学のほうが記憶力は優れているので、この作戦は有効だとのこと。

英検は準1級を高校までに

 帰国直後の1月に、小2の娘に英検3級、私は準1級を受けて、なんとか合格しました。
 最近どんどんスピーキングの力が落ちているような気がするので、娘は準2も受けさせれば良かったかなー。

 最近いろいろ調べて知ったのですが、準1級をもっていると、大学受験にすごく有利なんだそうで。上智の推薦がもらえるんだそうです。私は音楽系なので早稲田の英語の問題なんて見たことがなかったんですが、この前はじめて見て「あれ、これなら解ける」とか思ってしまったし。

 なにも受験のために英語子育てをしているわけではないんですが、やはりリーディングをやっておけば、中学高校になってからの負担が大幅に減ることは予想されます。中1から勉強をスタートして準1級の語彙のあたりまで6年間で詰め込むのってすごく大変で、結局英語で読書を楽しんだりテレビを楽しんだりってことができないと思うんですよね。

 もちろん1級がとれるぐらいの力がつけばいいですし、帰国子女だと6年生で1級を持っている子も…って話も聞くのであせってしまいます。

 冷静に日本での大学受験を考えたら、高校1年ぐらいで準1級がとれれば、もう十分って気もしますね。海外への進学となると、またぜんぜん話は別ですが。

 「英検のための勉強」というのは子どもには面白くないと思うので、そちらにフォーカスするよりも、あくまで日々のリーディングやテレビ視聴、ネイティブの先生とのレッスンなどをベースに続けていき、英検はあくまで腕試し的に受けてみればいいかと考えています。

清水真弓さんの著書はアメリカのリーディングメソッドに基づいている

メルマガなどでもずっと拝見していた清水真弓さんの英語子育て本「わが子を英語ができる子にする方法」が発売になり、早速読んでいました。

まゆみさんの名前で検索すると九州大学のお医者さんなんですよね。事実かどうかはわかりませんが、そうとうに頭のいいワーキングマザーがわが子をバイリンガルにすべく取り組み開発したメソッドといえると思います。

3歳で英検5級、というのがキャッチフレーズなんですね。「ええっ!?」とのけぞりました。これはまさにもとの頭がよくないと、アメリカ人の3歳だって、全員は無理ですよ。

読んでみて「これはすごい」と思いました。日本で普通の小学校に通いながら英語を勉強したまゆみさんのお嬢さん、どうみても、アメリカで暮らして現地校に通っている日本人小学生の平均よりも上をいっています。このレベルよりも上をいっているのは、日本語が苦手になって母国語が英語になってしまっているお子さんぐらいでしょう。

子どもが英語を忘れちゃうからどうしたらいいのか、と帰国子女のお母さんたちは悩んでいますが、国内で、英語教室には週1で、普通の小学校に通いながらここまでというのは、脱帽です。

そこで結局重視しているのが、リーディングです。まゆみさんのやっていることは、アメリカの小学校でとにかく読め読め読めと毎日ひたすら読ませている、量をたくさん読ませる、というのを実践されていて、アメリカのリーディングメソッドと基本的に同じ考え方でやっていらっしゃいます。

また、オーディオブックを活用されています。親の読み聞かせにも限界があるし、発音もネイティブだし、オーディオブックをがんがん活用していくのがいいとこの本を読んで気づきました。

この本のどこがどうアメリカのリーディングメソッドと関連しているのか、引き続き書いていきたいと思います。

帰国子女をお持ち、子どもの英語保持に悩むお母様は、必読です。

わが子を「英語のできる子」にする方法

わが子を「英語のできる子」にする方法

カナダ人の家庭教師の先生と英語保持

ようやく日本に帰国、これからは我が家はリーディングをしながら子どもたちの英語保持をしていくことになります。

引越しの前後、私ひとりでしばらく娘のリーディングにつきあっていましたが、もはや私では頼りないことが多すぎて、娘はあれこれ直されると機嫌が悪くなっていました。

塾か家庭教師か迷っていましたが、良いカナダ人の女性の家庭教師の先生が見つかったので、その先生にリーディングも含めて、娘と息子の英語を見てもうらうことにしました。

家庭教師の先生に決めたのには、いろいろな理由があります。

帰国子女向けの塾は、新宿や広尾、横浜などになり、通塾するとなると親がかりで、毎週土曜日がつぶれてしまう。月謝もひとり2万円以上はかかる。しかも1対1ではなく、グループレッスンになる。かといって地元にあるECCなどの英会話スクールには、帰国子女クラスがない。

うちの娘は、英語が話せるお友達とわいわいやらなくてもさびしくないようですし、ちょっとでも授業がつまらないと上の空になるタイプなので、個人レッスンのほうがいいと判断しました。

家庭教師の先生は、時給4000円で、入学金や施設費もいらないし、時間や回数が調節できるのもいいところです。いまのところ週1で、娘が1時間、息子が30分でお願いしています。

先生選びはけっこうこだわりました。
教育学の学位がある女性。大卒、しかもある程度の大学。子どもの扱いがうまくて面白い人。アクセントがきつくない、アメリカ人かカナダ人かイギリス人。

いろいろな英会話講師派遣会社には、「おたくは都心から離れているし、条件が厳しすぎ」といって断られたんですが、ネイディブ先生ドットコムというサイトで、見つけることができました。

こういうサイトに登録している人は玉石混合で、ただ英語がしゃべれるだけでアルバイト感覚の人もいれば、ナンパ目的の男性も多数いるらしいということで、かなり警戒しました。

私の場合、まず女性に限定し、職業として英会話の先生をやっていると思われる人に絞り、さらにその先生の名前をフェイスブックで検索して発見でき、ウォールなどで普段の生活ぶりをチェックして、大丈夫そうと判断、メールでやりとりしたところ、メールの返事も速く的確だったので、体験レッスン(有料)に来てもらったら、理想の先生だったというところです。

都心の帰国子女塾に通わないという決定をした時点で、うちの子どもたちが「アメリカ現地校レベルを維持する」のはおそらく無理でしょう。でも、そこまでハイレベルな英語を維持するために毎週土曜日をつぶして毎日英語の宿題宿題と私が娘のお尻を叩いて膨大なエネルギーを家族で費やす目的が見えないし、うちはこれぐらいでちょうどいいかな、と思っています。

帰国前の10月ぐらいから、もうずーっと悩みに悩んで、膨大な時間をかけて塾や先生探しのためのネット検索で使ってきたので、先生が決まってやれやれです。

もちろん先生にお任せ、と丸投げしていたのではたいした効果もあがらない可能性が大ですので、リーディングについて、これからますます深めていきたいと思っています。