アメリカのリーディング・メソッド

音楽ライター山本美芽が、アメリカ在住の5年間に学んだリーディングメソッドについて綴ります。

リーディングのレベルをはかる1分テスト

お向かいに住んでいるママ友のノラさんは、小学校の先生をしています。
さっき、私たちが引っ越すのを知っていて、最後に遊びに来てくれました。

ガイデッド・リーディングという難易度別小グループで、それぞれ違う本を読ませる活動をしているという話をしてもらいました。

「どの生徒にどれぐらいの本を読ませるのかが、難しいところなのよね。どんどん伸びる子はどんどん難しい本を与えなくちゃいけないし、そうでない子もいるでしょ」

 そこで、娘の担任の先生に「うちの子はいまどういう本を読んでいるのか知っていますか?」と聞いたら「知らない」といわれたんだけど、どう思う? とノラさんに質問すると、「ええー?? 本当に? ちょっとどうなのかしらね…」。なんだ、それじゃ、わりと例外のケースなわけですね。いい先生ではあると思うんだけど、ガイデット・リーディングはやってもらえないという点ではハズレだったのかなあ。

 「ねえ、じゃあ、ちょっと娘さんをテストしてもいい? パソコン使っていい? サンディエゴ、クイック、ってタイプして」

 そこで出てきたのが、このサイトです。

★リンク先が切れていたので、同じ内容のこちらに。西川久美子先生、教えてくださって、ありがとうございました!
https://homeschoolbase.com/reading-level-tests/


 これでテストしたら、2.5、2年生の5ヶ月目という結果だったので、「パーフェクトよ!」といってくれました。まあ、そんなに心配するような状態でもないみたいです。


 「2.7とか2.8の本は、お母さんと一緒に読むのがいいと思うし、ひとりで読むなら2.0とか2.2の本ぐらいがいいかもね」ということでした。

 「このテストは、私の2年生のクラスで、一番最初の日に必ず全員にやらせるのよ。そうすれば、誰がどんな位置にいるか、わかるでしょ?」

うーむ、非常に勉強になった講義でした。

渡米後2年半でハリーポッターを読破したT君(1)

娘が仲良しのお友達、Mちゃん。彼女のお兄ちゃんのT君は、2年生の夏休み明けにアメリカに来て、4年生の春ごろには、ハリーポッター全巻を英語で読破していたそうです。

ほとんどゼロの状態からのスタートだったかといえば、そういうわけでもなく、日本でも英語塾に通って、週に1度、1時間の指導を受けていたそうです。アルファベットの読み書きはできて、Do you −とか、Can you−とかのおよそ中1レベルの文章の意味はわかっていました。
それと、2歳のとき7ヶ月だけイギリスにお父さんが駐在になって、そのころネイティブの英語をたくさん聞く機会があったそうです。

まあゼロではないのですが、しかしだからといってアメリカの小学校にいきなり行っても、まわりが言っていることはほとんどわからない。明日もってくるものなども、まったくわからないので、毎日お母さんが帰りに先生に確認しているような状況だったとか。お母さんもアメリカに来たばかりで、思うように英語ができず、お母さんも必死だったそうですが。

朝、勝手にすきな本を読んでいい時間に、最初の1ヶ月ぐらいは日本語の本でいいということで、日本語の本を読んでいたそうです。しかし1ヵ月後ぐらいからは、英語の本を読む、といって読み始めたとか。

そこからとにかく、Tくんは英語の本を読み続けたそうです。

アメリカに来て1年後、こちらでは4thグレード(日本では3年生)のとき、9月から11月に読んだ本のリストをお母さんが見せてくれました。

Tくんの学校はアクセラレーテッド・リーダー(AR)を導入していて、先生の手元に子どもが読んだ本の記録が全部残っており、それを面談のときにもらったのだそうです。

9月4日から11月3日までで、25冊。ぜんぶマジックツリーハウスですね。

週に2−3冊読んでいるペースです。

読むときには、辞書はまったく使わないそうです。調べながら読むなんてかったるいことは、子どもにはできない。だから、辞書なしで読める自分にあったレベルの本をとにかくたくさん読む。たくさん読みながら、少しずつ語彙を増やし、読める本のレベルを上げていく。

図書館で全部借りられるから、お金もかかりません。

実によくできたシステムです。

5年生のときのリーディングログも残っているので、見せてもらいました。

そちらは次回に。

リーディングの時間に何を読んでもいい!?

1年生のときと違い、2年生になってからは、もはやグループではなく個人個人で本を黙読、または音読している娘のクラス。

他の学校にいる日本人の同級生のお友達に聞くと、「各自が読む時間にはARでレベルにあった本を選んで読んでいるみたい」といいます。

で、うちの娘のクラスは??

先生に「リーディングの時間に、うちの娘はどういう本を読んでいるんでしょうか?」と質問したら、

「わからないわねえ。なんでもいいのよ、好きなので。レベル別にきっちりやるのは、2学期からやるつもりなの」

・・・そうなんですか!?

まあ、授業では日本の国語の授業みたいに、同じ作家の本を数冊とりあげて2週間ぐらいきっちりと「どこで」「誰が」「何をしたか」などについての表をつくって読解をやっているんですけど。

それに、娘の学校のAPIスコアは900点以上で、サクラメント広域でもトップクラスだと校長先生が胸を張っていたけど。

でも、お友達の通う学校はたぶん、もっとスコアがいいんだろうなあ。

で、何を読んでいるのか娘に尋ねたら「"Ocean"っていう海の本。すごく面白いよ」ですと。うーむ、まあ理科好きなので、いわゆるリーディングのいろんなお話より、そういう科学系の本のほうが楽しいのかも。そういう自由な選択ができるのは、逆にいいのか…。

そんなわけで、家でも毎日20分読まなければならないのですが、その読む本は親と本人の判断に任されています。

それもあって、最近、図書館や本屋さんや、図書館の古本払い下げ(1冊25セント)とか、アマゾンとか、スカラスティックブッククラブとか、なんだかすさまじい量の本を借りたり買ったりしています。

買った以上はもったいないので、私も一緒になって読んでいるのですが、やさしい本を大量に読むのってらくちんですね。まるで日本語の雑誌や新聞をめくるのと同じように読める。

超やさしいので内容がわかる。だから知らない単語があってもだいたい推測できる。こういう読書を膨大に積み重ねるのが唯一確実な道なんだろうなあ。辞書はまったく使っていません。もちろん娘もリーディングのときには辞書は使わないですね。

2年生にはリーディンググループがない!

娘の学校でもらってきた時間割を見てみると、

Read aloud(音読)の時間と、Silent reading(黙読)の時間があります。

で、そのときは、グループに分かれてやっているのかどうか娘によーく聞いてみたところ、グループではなく、各自で読んでいるといいました。

だいたい毎日、音読か黙読の時間はあるのですが、そのとき読む本は各自ちがうそうです。

週に2回ぐらい先生に呼ばれて、「これを読みなさい」といって手渡される本や、紙に印刷したものを読んでいるとか。

さすがに2年生になると、ひとりでなんとか文章が読めるようになってきているので、もうグループではなく、ひとりひとりの能力に合わせた本を読ませていくわけですね。

それとは別に、「オーサー・スタディ」としてケヴィン・ヘンケスの本をみんなで読むような、日本の「国語の時間」っぽいものもある。

そんなふうに、2本立てになってきたもようです。ただし、各自が読むものについて先生がレベルを把握して、ちょうどいいレベルの本を間断なく与えていこうという点が、アメリカのリーディング・メソッドならではでしょう。

リードアラウドについて、日本でも推リードアラウドとは | リードアラウド研究会進している「リードアラウド研究会」というのがあるんですね。読み聞かせではない、とサイトでは強調されています。確かに、子どもが自分で声に出して読む時間がリードアラウドです。

http://readaloud.jp/about/

英文ウィキペディアのリーディングについての説明(リードアラウドについての説明あり)
http://en.wikipedia.org/wiki/Reading_(process)

Reading Aloud: Tips for Parents and Teachers
とにかくリーディングなんでも相談室みたいな雰囲気。いや、もしかして「リーディング教」の布教をされているような気分になってくるような…。でも、面白くて読みやすいサイトです。
http://www.literacyconnections.com/readingaloud.phpReading Aloud: Tips for Parents and Teachers | Literacy Connections

1年生の担任の先生から借りていた本&アメリカの小学校の2年生の授業で読んでいる本

新学期が始まる前に、1年生のときにお世話になった担任の先生の教室を訪れました。

去年と同じ教室に、同じような感じで本や机が並んでいて、なじみの光景です。ちなみに、教室には千冊以上は本があると思うのですが、それはおそらく先生の私物がほとんど。本を借りると、先生の個人の名前が書いてあるんですよね。

そこで、娘のリーディングレベルにちょうどいい本はないかしらといって、いくつか借りてきました。ジュニーBよりやさしいもの、ということで。もう読んでしまったので返す前に、記録しておきます。

Young Cam Jansen and the Missing Cookie

Young Cam Jansen and the Missing Cookie

What a Trip, Amber Brown (A is for Amber)

What a Trip, Amber Brown (A is for Amber)

Pinky and Rex Go to Camp (Pinky & Rex)

Pinky and Rex Go to Camp (Pinky & Rex)

1−4に分けたうちのレベル2ぐらいということで、本格的な茶ぷたーブックに入る準備段階の本ですね。こういう本をたくさん読むのが重要だと思うんですが、うーむ、それほど面白くないんですよねー。

面白さで言えば、いま、娘のクラスで、author studyといって、KEVIN HENKESの本をたくさん読んでいます。

この人の本は、子供向けだし、レベルでいったら確かにレベル2ぐらいのやさしいものですが、一筋縄ではいかない面白さがあります。

Julius, the Baby of the World

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弟が産まれて、リリーはお姉ちゃんになりました。でも、両親の関心は弟にいってしまい、リリーは面白くありません。弟にひどいことをたくさん言います。いじわるもいっぱいします。ところが…。



Owen (Caldecott Honor Book)

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毛布が大好きで肌身離さない子どもの話。学校に毛布を持っていけないし、いいかげん卒業したら?というまわりのプレッシャーがあるのですが…。