アメリカのリーディング・メソッド

音楽ライター山本美芽が、アメリカ在住の5年間に学んだリーディングメソッドについて綴ります。

日本の大学入試までに必要な英単語は5000

私が受験したころは「でる単」などを暗記して一生懸命単語を覚えたものですが、リーディングで英語の本を多読するようになると、自然と単語というのは覚えるもので、こうやって覚えちゃった単語で大学受験まで突破できれば楽だよなあ、と思います。

そこで和田秀樹さんの「公立小中高から東大に入る本」というのを読んでみました。

タイトルがストレートでちょっとビビっちゃいますが、公立小中高のカリキュラムでは大学受験に間に合わない現実があり、だいたいどのへんまでやっておけば対応できるのかという話が書いてあります。

それによると、今は、「長文化は進んでいるものの、トータルで5000語も覚えれば、どんな難関工も突破できる」。ただし和田さんが灘中に入学したころ「中学の教科書に出てくる単語が1000語、高校では5000語、単語集などを使って独自に覚えなければならない単語が4000語」。

和田さんは、中学で覚える単語が少なすぎると指摘。和田さんが行っていた頃の灘中では、中学3年間で3000語、高校2年の教科書レベルを覚えるようにいわれたとか。英単語を覚えるにあたっては高校よりも中学のほうが記憶力は優れているので、この作戦は有効だとのこと。

英検は準1級を高校までに

 帰国直後の1月に、小2の娘に英検3級、私は準1級を受けて、なんとか合格しました。
 最近どんどんスピーキングの力が落ちているような気がするので、娘は準2も受けさせれば良かったかなー。

 最近いろいろ調べて知ったのですが、準1級をもっていると、大学受験にすごく有利なんだそうで。上智の推薦がもらえるんだそうです。私は音楽系なので早稲田の英語の問題なんて見たことがなかったんですが、この前はじめて見て「あれ、これなら解ける」とか思ってしまったし。

 なにも受験のために英語子育てをしているわけではないんですが、やはりリーディングをやっておけば、中学高校になってからの負担が大幅に減ることは予想されます。中1から勉強をスタートして準1級の語彙のあたりまで6年間で詰め込むのってすごく大変で、結局英語で読書を楽しんだりテレビを楽しんだりってことができないと思うんですよね。

 もちろん1級がとれるぐらいの力がつけばいいですし、帰国子女だと6年生で1級を持っている子も…って話も聞くのであせってしまいます。

 冷静に日本での大学受験を考えたら、高校1年ぐらいで準1級がとれれば、もう十分って気もしますね。海外への進学となると、またぜんぜん話は別ですが。

 「英検のための勉強」というのは子どもには面白くないと思うので、そちらにフォーカスするよりも、あくまで日々のリーディングやテレビ視聴、ネイティブの先生とのレッスンなどをベースに続けていき、英検はあくまで腕試し的に受けてみればいいかと考えています。

清水真弓さんの著書はアメリカのリーディングメソッドに基づいている

メルマガなどでもずっと拝見していた清水真弓さんの英語子育て本「わが子を英語ができる子にする方法」が発売になり、早速読んでいました。

まゆみさんの名前で検索すると九州大学のお医者さんなんですよね。事実かどうかはわかりませんが、そうとうに頭のいいワーキングマザーがわが子をバイリンガルにすべく取り組み開発したメソッドといえると思います。

3歳で英検5級、というのがキャッチフレーズなんですね。「ええっ!?」とのけぞりました。これはまさにもとの頭がよくないと、アメリカ人の3歳だって、全員は無理ですよ。

読んでみて「これはすごい」と思いました。日本で普通の小学校に通いながら英語を勉強したまゆみさんのお嬢さん、どうみても、アメリカで暮らして現地校に通っている日本人小学生の平均よりも上をいっています。このレベルよりも上をいっているのは、日本語が苦手になって母国語が英語になってしまっているお子さんぐらいでしょう。

子どもが英語を忘れちゃうからどうしたらいいのか、と帰国子女のお母さんたちは悩んでいますが、国内で、英語教室には週1で、普通の小学校に通いながらここまでというのは、脱帽です。

そこで結局重視しているのが、リーディングです。まゆみさんのやっていることは、アメリカの小学校でとにかく読め読め読めと毎日ひたすら読ませている、量をたくさん読ませる、というのを実践されていて、アメリカのリーディングメソッドと基本的に同じ考え方でやっていらっしゃいます。

また、オーディオブックを活用されています。親の読み聞かせにも限界があるし、発音もネイティブだし、オーディオブックをがんがん活用していくのがいいとこの本を読んで気づきました。

この本のどこがどうアメリカのリーディングメソッドと関連しているのか、引き続き書いていきたいと思います。

帰国子女をお持ち、子どもの英語保持に悩むお母様は、必読です。

わが子を「英語のできる子」にする方法

わが子を「英語のできる子」にする方法

カナダ人の家庭教師の先生と英語保持

ようやく日本に帰国、これからは我が家はリーディングをしながら子どもたちの英語保持をしていくことになります。

引越しの前後、私ひとりでしばらく娘のリーディングにつきあっていましたが、もはや私では頼りないことが多すぎて、娘はあれこれ直されると機嫌が悪くなっていました。

塾か家庭教師か迷っていましたが、良いカナダ人の女性の家庭教師の先生が見つかったので、その先生にリーディングも含めて、娘と息子の英語を見てもうらうことにしました。

家庭教師の先生に決めたのには、いろいろな理由があります。

帰国子女向けの塾は、新宿や広尾、横浜などになり、通塾するとなると親がかりで、毎週土曜日がつぶれてしまう。月謝もひとり2万円以上はかかる。しかも1対1ではなく、グループレッスンになる。かといって地元にあるECCなどの英会話スクールには、帰国子女クラスがない。

うちの娘は、英語が話せるお友達とわいわいやらなくてもさびしくないようですし、ちょっとでも授業がつまらないと上の空になるタイプなので、個人レッスンのほうがいいと判断しました。

家庭教師の先生は、時給4000円で、入学金や施設費もいらないし、時間や回数が調節できるのもいいところです。いまのところ週1で、娘が1時間、息子が30分でお願いしています。

先生選びはけっこうこだわりました。
教育学の学位がある女性。大卒、しかもある程度の大学。子どもの扱いがうまくて面白い人。アクセントがきつくない、アメリカ人かカナダ人かイギリス人。

いろいろな英会話講師派遣会社には、「おたくは都心から離れているし、条件が厳しすぎ」といって断られたんですが、ネイディブ先生ドットコムというサイトで、見つけることができました。

こういうサイトに登録している人は玉石混合で、ただ英語がしゃべれるだけでアルバイト感覚の人もいれば、ナンパ目的の男性も多数いるらしいということで、かなり警戒しました。

私の場合、まず女性に限定し、職業として英会話の先生をやっていると思われる人に絞り、さらにその先生の名前をフェイスブックで検索して発見でき、ウォールなどで普段の生活ぶりをチェックして、大丈夫そうと判断、メールでやりとりしたところ、メールの返事も速く的確だったので、体験レッスン(有料)に来てもらったら、理想の先生だったというところです。

都心の帰国子女塾に通わないという決定をした時点で、うちの子どもたちが「アメリカ現地校レベルを維持する」のはおそらく無理でしょう。でも、そこまでハイレベルな英語を維持するために毎週土曜日をつぶして毎日英語の宿題宿題と私が娘のお尻を叩いて膨大なエネルギーを家族で費やす目的が見えないし、うちはこれぐらいでちょうどいいかな、と思っています。

帰国前の10月ぐらいから、もうずーっと悩みに悩んで、膨大な時間をかけて塾や先生探しのためのネット検索で使ってきたので、先生が決まってやれやれです。

もちろん先生にお任せ、と丸投げしていたのではたいした効果もあがらない可能性が大ですので、リーディングについて、これからますます深めていきたいと思っています。

リーディングのレベルをはかる1分テスト

お向かいに住んでいるママ友のノラさんは、小学校の先生をしています。
さっき、私たちが引っ越すのを知っていて、最後に遊びに来てくれました。

ガイデッド・リーディングという難易度別小グループで、それぞれ違う本を読ませる活動をしているという話をしてもらいました。

「どの生徒にどれぐらいの本を読ませるのかが、難しいところなのよね。どんどん伸びる子はどんどん難しい本を与えなくちゃいけないし、そうでない子もいるでしょ」

 そこで、娘の担任の先生に「うちの子はいまどういう本を読んでいるのか知っていますか?」と聞いたら「知らない」といわれたんだけど、どう思う? とノラさんに質問すると、「ええー?? 本当に? ちょっとどうなのかしらね…」。なんだ、それじゃ、わりと例外のケースなわけですね。いい先生ではあると思うんだけど、ガイデット・リーディングはやってもらえないという点ではハズレだったのかなあ。

 「ねえ、じゃあ、ちょっと娘さんをテストしてもいい? パソコン使っていい? サンディエゴ、クイック、ってタイプして」

 そこで出てきたのが、このサイトです。

★リンク先が切れていたので、同じ内容のこちらに。西川久美子先生、教えてくださって、ありがとうございました!
https://homeschoolbase.com/reading-level-tests/


 これでテストしたら、2.5、2年生の5ヶ月目という結果だったので、「パーフェクトよ!」といってくれました。まあ、そんなに心配するような状態でもないみたいです。


 「2.7とか2.8の本は、お母さんと一緒に読むのがいいと思うし、ひとりで読むなら2.0とか2.2の本ぐらいがいいかもね」ということでした。

 「このテストは、私の2年生のクラスで、一番最初の日に必ず全員にやらせるのよ。そうすれば、誰がどんな位置にいるか、わかるでしょ?」

うーむ、非常に勉強になった講義でした。

渡米後2年半でハリーポッターを読破したT君(1)

娘が仲良しのお友達、Mちゃん。彼女のお兄ちゃんのT君は、2年生の夏休み明けにアメリカに来て、4年生の春ごろには、ハリーポッター全巻を英語で読破していたそうです。

ほとんどゼロの状態からのスタートだったかといえば、そういうわけでもなく、日本でも英語塾に通って、週に1度、1時間の指導を受けていたそうです。アルファベットの読み書きはできて、Do you −とか、Can you−とかのおよそ中1レベルの文章の意味はわかっていました。
それと、2歳のとき7ヶ月だけイギリスにお父さんが駐在になって、そのころネイティブの英語をたくさん聞く機会があったそうです。

まあゼロではないのですが、しかしだからといってアメリカの小学校にいきなり行っても、まわりが言っていることはほとんどわからない。明日もってくるものなども、まったくわからないので、毎日お母さんが帰りに先生に確認しているような状況だったとか。お母さんもアメリカに来たばかりで、思うように英語ができず、お母さんも必死だったそうですが。

朝、勝手にすきな本を読んでいい時間に、最初の1ヶ月ぐらいは日本語の本でいいということで、日本語の本を読んでいたそうです。しかし1ヵ月後ぐらいからは、英語の本を読む、といって読み始めたとか。

そこからとにかく、Tくんは英語の本を読み続けたそうです。

アメリカに来て1年後、こちらでは4thグレード(日本では3年生)のとき、9月から11月に読んだ本のリストをお母さんが見せてくれました。

Tくんの学校はアクセラレーテッド・リーダー(AR)を導入していて、先生の手元に子どもが読んだ本の記録が全部残っており、それを面談のときにもらったのだそうです。

9月4日から11月3日までで、25冊。ぜんぶマジックツリーハウスですね。

週に2−3冊読んでいるペースです。

読むときには、辞書はまったく使わないそうです。調べながら読むなんてかったるいことは、子どもにはできない。だから、辞書なしで読める自分にあったレベルの本をとにかくたくさん読む。たくさん読みながら、少しずつ語彙を増やし、読める本のレベルを上げていく。

図書館で全部借りられるから、お金もかかりません。

実によくできたシステムです。

5年生のときのリーディングログも残っているので、見せてもらいました。

そちらは次回に。