アメリカのリーディング・メソッド

音楽ライター山本美芽が、アメリカ在住の5年間に学んだリーディングメソッドについて綴ります。

栗原はるみさんの英語、ロンドンのキッチンで見事に通じてた!!

先日テレビを見たら、スタジオパーク栗原はるみさんが出ていました。旅行番組の企画で、ロンドンの「ゴティエ」というフレンチレストランで5日間修行するというもの。栗原さんが、ゴティエのシェフ、アレクシスと知人だったということで受け入れてもらえたそうです。ということで、その晩にやっていた栗原さんが修行する番組を録画して見ました。

キッチンの中は当然、英語。

栗原さんは、60になってから英語をはじめて、最初は毎日、今は1日おきに電話で会話のレッスンをしているそうです。いま64歳っていっていたから(若々しいですけど!!)4年ぐらい。キッチンの中で、そんなペラペラじゃないけれど、でも、きちんと話は聞き取って、いいたいことは単語じゃなく、センテンスで話せて、コミュニケーションがとれてました。発音も、そんな帰国子女みたいな超きれいな発音とまではいきませんが、通じないような発音ではなくて、なかなかでした。

日本にいればセレブであり追っかけもいる栗原さんが、キッチンの中では、30代の殺気立った表情の若いシェフたちに囲まれて、「どうしよう」とかカメラに日本語でつぶやいている。最初の日、次の日あたりの場面では、なんだかこっちも一緒に不安になってしまいましたね。こうやってみると、日本人のふつうのおばさん。最初は野菜の下ごしらえ、次にディナーの1皿と盛り付け、そして最終日にはシェフにまかないを作って出して絶賛されるところまで。

困難に打ちひしがれ、めげずにがんばり、成果を…と描いたシナリオすぎるでしょ、現実はそういうふうにドラマチックに行かないんじゃないかなあ、とか少々意地悪な見方もできますが、そうした成り行きよりも面白かったことがありました。ゴティエのキッチンでは、材料を量らないのです。材料を量ってレシピを作ることに命をかけてずっとやってきた栗原さんは、量らないということに、ものすごい衝撃を受けていました。「おいしけければいい」と、いわれるのです。

ここがまるで、楽譜とか文字みたいだな、と思いました。料理における楽譜とか文字は、材料の数字なんですね。

でも楽譜や文字と同じように、結局数字ですべては伝えきれない。

最後に栗原さんが、料理の自由さ、料理をしている間のクリエイティブさを思い出したかのような表情で、楽しかったと話していました。

伝えるための手段は、貴重なものですが、やはり栗原さんほどの人でも、いや彼女ほどの人気と責任がある人だからこそ、その手段にがんじがらめになってしまう部分がやはり出てくるのだなと思いました。

ということで、60代からはじめた栗原さんがロンドンでがんばった姿、私にも良い刺激になりました。