娘に追いつかれないよう、アメリカのリーディングメソッドにのっとって読書を続けておりました。去年11月、帰国が決まってから急いで購入したアマゾンの電子書籍端末「キンドル」で、最初にダウンロードしたのが、家庭教師のギャラント先生がすすめてくれたアメリカのベストセラー小説"The Help"。
11月に読み始めて今が8月(爆)。海外引越しもはさんで、途切れ途切れに、でもあきらめず、10ヶ月かけて、…まあ、前半9ヶ月、後半1ヶ月みたいなペースですが、ゆうべ読み終わりました。
キンドルだと実感できないんですが、この本、ものすごく分厚くて、重くて、こんなの読み終わるなんて絶対無理と、背筋が凍ったものです。
それが本当に読み終わったというのが、信じられない! 私も、子ども向けの小説じゃなくて、大人向けの本でも読めるかも!? と思うと、わくわくします。これまで、ずーっと、小学校高学年ぐらい向けの本でも苦労していたので。
もちろん、この"The HELP"も、よくわからないところがいっぱいあって、電話でギャラント先生と毎週一緒にある章の半分ぐらいを読み進めて「ここが意味がわからないんだけど」といって説明してもらいながら、ようやくここまでたどり着いたというわけです。
舞台は1960年代、ミシシッピ州ジャクソン。白人家庭でメイドとして働いているAibileenとMinny、彼女たちの過酷な労働をインタビュー本にしてライターデビューを狙う風変わりな若い白人女性、Miss Skeeter、この3人を軸に話が進みます。
白人女性たちの育児放棄、メイドまかせで家事をしないでブリッジゲームに没頭(トランプをマージャンみたいに4人で延々とやっているらしい)、グータラ寝てパーティに出かける様子は、ちょっと驚きです。法外に安い人件費で黒人メイドが来てくれることで、こんな女王様みたいな暮らしをしていたのかと、あきれてしまいます。黒人メイドたちは自分の子どもをほったらかして、白人家庭の子どもたちの世話に明け暮れるしかなかったのです。
白人の黒人に対する差別のひどさが描写されており、まあそのえげつなさには背筋が凍ります。黒人と同じトイレを使うと病気がうつるからトイレは別じゃなきゃいけないとか、堂々と言っているんです。もちろん白人の住む地区と黒人の住む地区は別。
1960年代というと、まだわずか50年前。カリフォルニアは地域的に、ミシシッピにくらべたらずっと差別の少ない土地柄でしたので、この本に描かれる差別はアメリカで5年間過ごした私にとっては衝撃でした。マーティン・ルーサー・キングが立ち上がった背景には、これほどひどい差別があったのかと、初めて知りました。
どちらかというと子ども向けというよりは、大人の女性向けの婦人公論ちっくな感じのノンフィクションです。なので、すごーく私には面白かった。黒人女性の一人称の部分だと、文法が若干変だったりして、ちょっと読みにくく難しかった部分もありましたが、さすがに1冊通すと最後には慣れてしまいました。
ギャラント先生は、大人向けのベストセラー小説のなかでは、比較的文章がやさしく、読みやすく、内容も深くて面白いので、といって私に与えてくれたので、確かにそのとおりでした。
大人の英語学習者にはおすすめしたい1冊です。ペーパーバックも出たようですが、500ページと、分量がかなりあります。キンドルにしたところ、持ち歩きなどに軽くて便利でした。
まあ、一度最後まで読了したたけで、まだ理解は不十分かとは思うんですが、これからもっともっと英語の面白い小説にたくさん挑戦して、30冊ぐらい読んだら、1級の過去問に挑戦してみようかと思います。
"The Help"は、この夏、アメリカで映画化されて、なんと今日8月10日に公開されます。公開に間に合ってよかった(笑)。
予告編を見たら、Aibileen役の黒人女性がそんなに太っていなかったり,かわいくないとコンプレックスを持っているMs.Skeeterが随分と美人だったりと、原作を読んでからだと、イメージが若干違うのが面白いところです。
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映画の予告編です。
映画のオフィシャルサイト
http://thehelpmovie.com/us/