アメリカのリーディング・メソッド

音楽ライター山本美芽が、アメリカ在住の5年間に学んだリーディングメソッドについて綴ります。

ヘミングウェイの妻(”The Paris Wife"読了)

今年はじめから家庭教師のギャラント先生と、国際電話でリーディングのレッスンで読んでいた”The Paris Wife"、先日読み終わりました。と思ったら、新潮社から翻訳が7月31日に出たのですね。日本語タイトルは「ヘミングウェイの妻」。

といってもアーネスト・ヘミングウェイの妻は4人います。この本では、最初に結婚して一緒にパリに住んで、売れない無名の時代のヘミングウェイと結婚していた、最初の奥さんが一人称で語っています。いろんな奥さんがいて、私はパリの奥さんだったのよ、というニュアンスがタイトルには込められています。

昨年の冬に、ギャラント先生が、アメリカですごく人気で、自分が読んでも面白く、出てくるボキャブラリーもわりと学ぶ価値のあるものだからとすすめてくれて、毎週1章ほどレッスンで精読していました。アメリカに住んでいた頃、フロリダのキーウエストにあるヘミングウェイの家を訪れたとき、シンプルリッチとでもいうのでしょうか、真っ白い壁に緑色の屋根や窓枠、飾り気がないけれどくつろげる上質な部屋があまりに素敵で驚いたものですが、この家に住んでいたヘミングウェイの妻というのは、ハドリーではなかったことも、この本を読んでようやくピンときた次第です。

途中、キャラクターが結構いっぱい出てくるので、そこがややこしいかも。でもそれを補ってあまりあるのが、ハドリーの魅力的なキャラクターでした。とても感性が豊かで、それでいて地に足のついた堅実さがあるところが素敵。アーネストのみずみずしい雰囲気も魅力的だけれど、夫にしておくにはちょっと好奇心が強すぎてしんどいですね、この人は。でもアーネストの書いた手紙の文章などは、さすがに読ませる力を感じます。

パリやロワール地方、スイス、スペインのパンプローナでの闘牛、それからカリフォルニアのカーメルもちらっと出てきたりして、そうした各地の風景の描写もなかなか楽しめます。

The Paris Wife

The Paris Wife

ヘミングウェイの妻

ヘミングウェイの妻

キーウエストのヘミングウェイの家を訪れたときの記事はこちら。
http://d.hatena.ne.jp/mimeyama+writer/20090526