アメリカのリーディング・メソッド

音楽ライター山本美芽が、アメリカ在住の5年間に学んだリーディングメソッドについて綴ります。

The Paris Wife


いま英語の家庭教師の先生と読んでいる本を紹介します。

作家のヘミングウェイが4回結婚したうちの、最初の奥さんとの
出会いから別れまでを、奥さんであるハドリーの一人称で描いた小説
The Paris wife です。

まだ読んだのは半分ぐらいです。

家庭教師のギャラント先生が、アメリカでいまベストセラーになっていて
女性の集まるブッククラブでも、よくとりあげられている人気の本なのよと
紹介してくれて、読み始めました。

アメリカ滞在中、ヘミングウェイの家に行ったことがあります。

フロリダから、海の上の高速道路で島をいくつもわたって4時間ぐらいでしょうか、
キーウエストという島が高速道路1号線の終着点。

サザンモストポイントといって、アメリカで一番南にある場所です。

この島にヘミングウェイが住んでいたので、彼の家が観光名所になって
残っているんですね。

白い壁に緑色の屋根、二階建て、プールつきの家。

これまでヨーロッパの宮殿やアメリカの豪邸にはいろいろ行きましたが、
豪華さはそれほどでもないけれど、趣味のよさと居心地よさでは一番では
ないかと感じました。

キーウエストには、ヘミングウェイが通っていたというスロッピー・ジョー
というバーをはじめとして、酒場がいたるところにあり、そこには
ドラムセットがセッティングされていて、毎日夕方になるとライブが始まり
ます。私、ここに住みたい!!!!! と、歩いているときに思いました。

だから、ヘミングウェイといえば、キーウエスト。

と、勝手に思っていました。ところが、この本の舞台は、パリ。

若き日のヘミングウェイは、ハドリーと結婚して、新婚さんのうちに
パリに住むんですね。

なにしにパリへ?というのが、いくら読んでもいまいちわからなくて、
若干の雑誌原稿などの依頼もあったのでしょうが、それだけで食べられる
から仕事があるから行ったというわけでもなく、パリの文化的な香りに
引き寄せられて、パリに行けばいい作品が書けるんじゃないか的な理由
なのかなと。

まさに、パリのアメリカ人ですね。

いま、まだハドリーとヘミングウェイが破局を迎える前なのですが、
史実にもとづいたフィクションなので、結末はわかっているのですよね。

私が訪れたキーウエストは、ハドリーと別れたあとに住んだ場所
なんです。

ちょっと読むのは大変ですが、1920年代のシカゴ、そしてパリ、
若き日の魅力的なヘミングウェイ、そうそう、ハドリーはピアノの達人
でもあったんです。雰囲気だけでもなかなか楽しめます。

The Paris Wife

The Paris Wife

雑誌"Pen"のヘミングウェイ特集。ぱらぱらめくっていると
ヘミングウェイが世界中を旅した話なども出てきていい感じです。

家にこもって想像力を広げまくって書く人もいるのでしょうが、
ヘミングウェイは、でかけまくって書くタイプだったのでしょうね。

私もでかけて刺激を受けて、そこでテンションをが〜とあげて書くほうなので、
あちこちでかけるヘミングウェイの生き方には共感します。

ただね、配偶者も旅行の行先と同じような面があるんでしょうか、
彼は4回結婚しているんですよね。

旅行を沢山するのと配偶者を変えるのでは、わけが違うと思うのですが、
新しいことにワクワクしてしまう本能に従い、
多くの人を傷つけながらも、突き進んでしまったんでしょうね。

Pen (ペン) 2011年 4/15号 [雑誌]

Pen (ペン) 2011年 4/15号 [雑誌]

ところで英語のレッスンは、どんなふうにしているかというと、
しばらく家族や仕事のこと、お天気やニュースのことなどをおしゃべりしてから、
私が英語の本を音読し、時々わからない単語や文章があると、先生にこれって
どういう意味? これでいいの? と細かく確認していくわけです。

ときどき「その単語は私もわからないのよね。たぶんこういう意味だけれど、
覚えなくてても大丈夫よ」

なんてことがよくあるので、知らない単語にいちいち面食らわず、流せるようになって
きましたね。もちろんその逆で、「これは覚えておいたほうがいいわね」という
単語もあるんですけれども。

そんなふうなやりとりも英語を話す練習になっています。


日本にいると、マイアミとかカリブ海の情報は、なにしろ遠いのでなかなか
入ってきませんが、私はアメリカ滞在中にすっかりはまってしまいまして。

そのわりに日本に帰ってからはご無沙汰していますけれども、
時々、ご紹介させていただきたいと思っています。

ヘミングウェイの家を訪れたときのブログ記事はこちら。
http://d.hatena.ne.jp/mimeyama+writer/20090526/1280688817